弁護士コラム|新型コロナウイルスの感染拡大と医療法人の組織運営|大垣事務所

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弁護士コラム
Column

新型コロナウイルスの感染拡大と医療法人の組織運営

2020年04月20日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 渡邊 健司

 新型コロナウイルスが猛威を振っています。名古屋丸の内本部事務所のある愛知県でも,4月10日に,県独自のものではありますが,緊急事態宣言が出され,外出の自粛や三密(密閉,密集,密接)の回避など,各自感染拡大防止のための行動が求められています。  ところで,社団医療法人では意思決定機関として社員総会,理事会を設置しなければならず,財団医療法人では評議員会,理事会を設置しなければなりませんが,通常,これらの機関による意思決定は構成員が直接集まって議論を行い,議事について決議をして決定します。コロナウイルスの感染拡大の感染拡大防止が求められる中,通常どおり,直接対面により社員総会や評議員会,理事会を開催しなければならないのかは問題です。  まず,定款上開催時期が定められている定時社員総会であっても,天災等によって開催ができない状況において開催を強制する趣旨ではないと考えられますから,新型コロナウイルス感染の危険性が高い時期における開催を控え,危険性が消失してから速やかに開催する対応も許されるものと考えられます。また,社員総会を開催する場合,医療法上,定款に定めのない限り書面や代理人による議決権行使が認められていますし,対面での開催に代替してZoomやMicrosoft Teams等のアプリを利用したウェブ会議システムを活用することも考えられます(対面と同等の明確性・即時性・双方向性が確保できるかも問題となりますが,広く用いられているアプリでは,直接対面と遜色ないものが多いように思われます。)。理事会や評議員会でも,同様にウェブ会議システムによることは可能と思われます。新型コロナウイルス感染症を防止しつつ,組織運営を継続していくために医療法人ごとの工夫が求められているといえるでしょう。  ところで,社員総会において,決議に問題がある場合には,社員総会決議無効確認の訴えや社員総会決議不存在確認の訴えが提起されるリスクがあります。社員間,理事間で争いがある場合や,紛争性のある議案を取り扱う場合には,これらのリスクを踏まえてどのような点に注意すべきでしょうか。 社員総会において,医療法人の重要事項について決定することは社員の権利ですから,ウェブ会議システム等を活用するとしても,社員において,議案を十分に検討し,議論を尽くす機会を確保することが重要です。例えば,招集通知から開催を通常よりも長くする,招集通知の段階で,議案について内容や論点を詳細に説明する文書を添付しておく,予め各社員の意見表明の機会を設ける等の方法が考えられます。  弊所では,医療法人の社員総会,理事会,評議員会の開催について,法令・定款に照らした手続の適法性確保や,議事進行,シナリオ,想定問答等についても助言をしていますので,新型コロナウイルス感染症対応と合わせてご相談をいただければと思います。