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未払医療費回収

未払医療費回収

 売掛金の回収は、いずれの事業を行っていても発生する問題です。
 医療費については、大半が健康保険の適用であるため、医療費の内7割以上は、健康保険組合から支払われることになります。また、個々の未払医療費は、それほど高額ではない場合も多いと思われます。
 したがって、売掛金の回収について積極的でない医療機関が多いようです。
 しかし、「塵も積もれば山となる」とのことわざのように、決して看過することはできない問題だと思います。
 法律の専門家が関与することで、未払医療費の回収率を上げることが期待でき、健全な医業の運営に資することになります。

Q&A

当院では、診療報酬を支払わない患者が多く未払いの診療報酬がたまっています。1人1人の額は必ずしも多くないのですが、総額はかなりの金額になります。何とか回収したいのですが、どのような手段がありますか。
 医療機関は、患者に対して、提供した医療サービスに対する対価として診療報酬を請求することができますが、窓口で診療報酬を支払わず、そのまま支払いをしない患者もみられます。医療機関としても、1、2回電話等で督促はするものの、患者負担分の個々の金額が小さいために事実上回収不能として放置されている場合もあるようです。
 しかし、本来、医療サービスを受けておきながら診療報酬の支払いを免れることは、患者の公平をはかる観点からも、あってはなりません。また、診療報酬の請求権は3年の消滅時効にかかりますので、医療機関としては早期にどこまでの回収努力を行うか決定する必要があります。
 当事務所では、過去に、公的な病院機構、大病院等から、多くの患者に対する診療報酬の回収について一括して依頼を受け、診療報酬の回収を行っておりますので、費用面も含め一度ご相談下さい。
手術後の合併症により入院期間が延びてしまった患者がいましたが、退院の際に退院が延びた分の医療費は支払わないと言われました。当院としてはやむを得なかった合併症であり、医療過誤とは考えていないのですが、治療費を請求することはできないのでしょうか。
 請求することができます。
 医療サービスを受けた以上、患者には、それに対する診療報酬を支払う義務があります。これは、仮に医療過誤により治療が必要となった場合であっても変わりません。
 ただし、医療過誤の場合(診療行為に過失があり、それによって入院期間が延びた場合)には、患者は、治療費分の損害賠償請求権を取得しますのでトータルでは治療費を請求しなかったのと同じことになります。
 ですので、まずは医療過誤か否かを適切に分析することが重要です。過失の有無は法的観点を含みますので、医療者において医療過誤ではないと思われていても、実は過失を問われる可能性がある場合もあります。医療過誤であったかについて結論を踏まえた上で、患者に対する治療費の請求をどこまで行うかを検討することが重要です。
身よりのいない患者を受け入れていますが、患者が亡くなられた後、治療費はどなたに請求すればよいのでしょうか。
患者に対する診療報酬請求権は、患者が死亡した場合、患者の相続人に引き継がれます。医療機関では患者に近い親族等で主に医療機関とのコミュニケーションの窓口となっている人を「キーパーソン」等と呼んでいることもありますが、このキーパーソンは法的な相続人ではないこともありますので注意が必要です。また身よりのない患者の場合、キーパーソンすらいないため、誰に請求してよいのか手がかりがなくなってしまうこともあります。
 相続人は、第1順位として子、第2順位として直系尊属(両親など)、第3順位として兄弟姉妹とされており、配偶者は常に相続人になります。
 ただし、身よりのいない患者の場合、親族と疎遠になっている場合も多く、相続人の調査が困難な場合もあります。相続人を調査し確定するためには、一般に、患者の出生から死亡までの戸籍謄本ないし除籍謄本、改正原戸籍謄本等を取得する必要がありますので、一度弁護士にご相談下さい。
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